Panavision

Mocky2005-07-18

 映画を見てる人だったら誰でも何度かは目にしたことのあるロゴ。四角い枠の中にPanavisionと書かれた文字。
 これは、パナビジョンという会社のカメラ(またはレンズ)を使用してますよ、という印。まあ「インテル入ってる」みたいなもんですね。昔はかなりの使用頻度で活躍していたのですが、ここ数年は、ドイツ製のアリフレックスというカメラの高性能化に押され、CMの現場では見る機会も少なくなってしまいました。
 正直、私も恥ずかしながら今まで使ったこと無かったんですよ、このカメラ・・・。(あ、言っちゃった!)じゃ、何を使ってるかというと、さっきも話に出たパナビジョンと勢力を二分するアリフレックス(以後、アリ)というドイツ製のカメラばかり使っていました。正直、パナ(略してこう言います。決してパナソニックじゃないよ)は敷居が高く、今まで撮影で使用したことは、たった一度。撮影現場という設定のCMで美術の一部として借りただけでした。「やっぱ写り込むんだったらパナでしょう」というくらい古き良きアメ車の香りがするんですよ。それに対してアリはドイツ車、さしずめベンツですかね。けしてポルシェじゃない。
 そんなアメ車みたいなカメラの、しかも旧タイプを次の映画で使うことになるなんて・・・

 さて、このパナというカメラ、何がそんなに敷居が高いかというと、
その1、未だにレンタルするのにドル立てで計算しなくてはいけない。(その上、ちょっと高い)
その2、レンズマウントが他社と全く違う独自のもので自社レンズしか使えない。
その3、アメリカ本国でも販売していなくてレンタルのみ、しかも、周辺機材は独自のもの。
 ま、そんなこんなで今まで食わず嫌いをしていたのですが、とうとう使う時がやってきました。使ったことの無いものに興味がある私としては、なんで今まで使わなかったの?という感じなのですが、CMともなると失敗は許されないので*1つい、使い慣れているアリを選んでしまうのです。しかし、今回は監督の希望もあり、映画ということでテスト期間も十分にとれることから新境地へと踏み切ったわけです!(ま、そんな大仰に言うことじゃないけどね)
 使ってみて、使わない人の気持ちも、使う人の気持ちもちょっとだけ分かったような気がしました。
 確かに助手にとっては使いにくいことだらけ・・・。どこ持ったら良いんだよ。と思わせるような取っ手。使いやすさよりもカッコで選んでるんじゃないかと思うようなアクセサリー類。しかもフィルムの装填がしにくいときている。
 でもね、それを差し引いてもレンズが良いんですよ。アリの主力レンズはソニーコンタックスで採用されているツァイス社製のもの。それに対してパナのプリモレンズは柔らかくて奥行きが深い。まぁ、微妙なんで「美味しんぼ」みたいな表現しか出来ないけど*2何で今まで使わなかったのかと思うくらい自分の好みに合っている。しかも、ズームレンズが良い。35mmのムービーカメラは良いズームレンズを開発するのがかなり難しいんです。実際、アリで撮っている時は殆どズームを使うことはなかったのですがプリモレンズだったら全部ズームでも良いと思えるくらいです。実際、アリ陣営(アンゼニューという会社から)もこのプリモズームに匹敵するオプティモというズームレンズを出したのですが、出たのはつい最近のことです。
 う〜ん、知るのが遅すぎたのか?それとも機能的には上で、表現力がやっとパナに追いついたこの時期に使ったというのが結果的に良かったのか?まぁ、自分の中に選択肢が一つ増えたと思えばそれで良いや!

*1:PVは実験も味にしてしまいますからねぇ・・・

*2:それに対してツァイスレンズはキレが良くてスキッと抜けが良い